浮気した側(有責配偶者)でも離婚できる?認められる3条件と対処法を解説
「自分が浮気をしてしまったが、もう婚姻生活を続けられない。離婚したい」——こうした状況に置かれた方からよく寄せられる疑問が「有責配偶者でも離婚できるのか?」です。
結論から言えば、有責配偶者から一方的に離婚を請求することは原則として認められていません。しかし、一定の条件を満たせば離婚が認められる場合もあります。また、相手の同意があれば協議離婚が成立します。
この記事では、有責配偶者の定義・離婚請求が認められる3つの条件・協議から裁判までの流れ・慰謝料への影響を、当サイトのアンケートデータをもとに詳しく解説します。
・有責配偶者とは何か(定義・該当するケース)
・有責配偶者から離婚請求が認められる3つの条件
・協議・調停・裁判それぞれの進め方
・慰謝料・財産分与への影響
・浮気した側が離婚を求めた当事者の体験談(n=40)
有責配偶者とは?定義と該当するケース
有責配偶者とは、婚姻関係が破綻した原因を作った責任のある側の配偶者のことです。法律上の明確な定義はありませんが、以下のような行為が「有責」と判断されることが多いです。
有責配偶者に該当するケース
| 有責事由 | 説明 |
|---|---|
| 不貞行為(浮気・不倫) | 配偶者以外との性的関係。最も多いケース |
| DV(身体的暴力) | 配偶者に暴力を振るった |
| モラハラ(精神的DV) | 継続的な暴言・支配・無視 |
| 悪意の遺棄 | 正当な理由なく同居・扶養を拒否する |
| 重度の浪費・ギャンブル依存 | 家計を破綻させるほどの浪費 |
特に「不貞行為(浮気・不倫)」が有責配偶者の典型的なケースです。浮気をした側は、相手から慰謝料を請求されると同時に、「有責配偶者」として離婚請求をしにくい立場になります。
有責配偶者からの離婚請求は認められるのか
民法770条は、裁判離婚が認められる5つの離婚原因を定めています。このうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(同条1項5号)の判断において、有責配偶者からの請求は原則として認められないとされています。
これは、「自ら婚姻関係を壊しておきながら、離婚を請求するのは信義に反する」という考え方に基づきます。
最高裁判所の判例(1987年)
1987年の最高裁大法廷判決は、有責配偶者からの離婚請求について、以下の3つの条件がすべて満たされる場合に限り、例外的に離婚が認められると判示しました。
有責配偶者からの離婚請求が認められる3つの条件
条件①:別居が「相当長期間」に及んでいること
「相当長期間」の目安はおおむね10年以上とされています。ただし、10年たてば必ず認められるわけではなく、「子どもの年齢・状況」「婚姻期間全体に対する別居期間の割合」なども考慮されます。
- 婚姻10年・別居10年 → 認められやすい
- 婚姻20年・別居10年 → より慎重に判断される
条件②:未成熟子が存在しないこと
「未成熟子」とは、経済的・精神的に自立していない子どもを指します。一般的には18歳未満(大学進学中の場合は22歳程度まで)が目安です。未成熟子がいる場合は、離婚が認められにくくなります。
条件③:相手が「苛酷な状態」に置かれないこと(苛酷条項)
離婚を認めることで、相手(離婚を請求される側)が「精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況に置かれる」場合は、離婚が認められません。たとえば以下のようなケースです。
- 相手が重病や障害を抱えていて自立が困難
- 婚姻期間が長く、専業主婦として経済的に自立できない年齢になっている
- 離婚後の生計手段がほぼない
3つの条件の「チェックリスト」
| チェック項目 | 状況 | 見通し |
|---|---|---|
| 別居期間 | 10年以上 | ○ 認められやすい |
| 別居期間 | 5〜10年 | △ ケースによる |
| 別居期間 | 5年未満 | × 裁判では困難 |
| 未成熟子の有無 | なし | ○ プラス要素 |
| 未成熟子の有無 | あり(18歳未満) | × マイナス要素 |
| 相手の経済状況 | 安定して自立可能 | ○ プラス要素 |
| 相手の経済状況 | 高齢・病気・無収入 | × 苛酷条項に引っかかる |
有責配偶者が離婚を進める方法|協議・調停・裁判
方法①:協議離婚(最も現実的な方法)
有責配偶者でも、相手が同意すれば協議離婚は成立します。相手の同意を得やすくするために、有責配偶者側が高額の慰謝料・有利な財産分与・養育費の上乗せなどを提示することが多いです。
協議離婚の手続きは、離婚届を市区町村に提出するだけで完了します。ただし、慰謝料・財産分与・養育費は公正証書でまとめておくことを強く推奨します。
方法②:離婚調停
相手が協議に応じない場合、家庭裁判所での調停に進みます。調停は裁判官と調停委員が間に入り、話し合いを促す手続きです。強制力はなく、合意が得られなければ調停不成立となります。
方法③:離婚裁判
調停が不成立の場合、裁判に進みます。有責配偶者からの請求は原則として認められませんが、前述の3条件を満たす場合は認められる可能性があります。裁判は数年かかることもあり、弁護士への依頼が必須です。
有責配偶者は慰謝料をいくら払わなければならないか
慰謝料の相場
| 離婚の有無 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 離婚しない場合 | 50〜200万円 |
| 離婚する場合 | 100〜300万円 |
| 婚姻期間が長い・子どもがいる・浮気が長期・悪質な場合 | 300〜500万円以上 |
慰謝料に影響する要素
- 浮気の期間(長いほど増額)
- 浮気相手との関係の深さ(子どもができた場合は大幅増)
- 婚姻期間(長いほど増額)
- 有責配偶者の収入・支払能力
- 相手への精神的ダメージの大きさ
慰謝料の支払いは離婚の障壁になるか?
有責配偶者が高額の慰謝料を提示することで、相手が離婚に同意する場合があります。一方で「慰謝料を払えばいい」という発想で交渉すると逆効果になることも。相手の精神的なケアと誠実な謝罪が、協議離婚成立の前提になります。
【1次調査データ】有責配偶者として離婚を経験した40名のケース
| 離婚方法 | 割合 |
|---|---|
| 協議離婚(相手が同意) | 55.0% |
| 調停離婚 | 27.5% |
| 裁判離婚 | 10.0% |
| 離婚できなかった(現在も婚姻継続) | 7.5% |
協議離婚が成立した際に提示した条件(複数回答)
| 提示内容 | 割合 |
|---|---|
| 慰謝料の支払い | 82.5% |
| 財産分与を有利にした | 55.0% |
| 養育費の上乗せ | 42.5% |
| 浮気相手との関係終了の誓約書 | 35.0% |
| 住宅(自宅)の譲渡 | 22.5% |
アンケートでは、有責配偶者側から離婚を求めた場合の55%が協議離婚で解決しており、慰謝料・財産分与で誠実な条件を提示することが鍵になっていることが分かります。
体験談|有責配偶者として離婚を経験した3人の声
Aさん(38歳・男性・浮気が原因で離婚請求→協議成立)
「不倫が発覚し、妻から慰謝料請求を受けました。同時に自分も関係を修復できないと感じ、離婚を求めました。弁護士に相談したところ、慰謝料を相場より高く設定・住宅の名義を妻に変更することで協議離婚が成立しました。裁判にはならず、1年以内に解決できました」
Bさん(44歳・女性・不倫後の協議が難航、調停に移行)
「私が浮気をしたことで離婚を望みましたが、夫は話し合いに応じてくれませんでした。調停では慰謝料250万円・財産分与で夫に有利な条件を出し、最終的に合意できました。調停は半年かかりましたが、裁判にならずに済みました。弁護士に早めに相談したのが良かったと思います」
Cさん(51歳・男性・別居10年後に裁判で離婚成立)
「40代で浮気し、妻と別居しました。子どもはすでに成人していたこと・別居が10年を超えたことで、弁護士から裁判離婚が認められる可能性があると言われました。裁判の結果、離婚が認められました。10年間という時間と、弁護士費用を含めてかなりのコストがかかりましたが、最終的には解決できました」
よくある質問(Q&A)
Q. 浮気した側(有責配偶者)から離婚を申し込むことはできますか?
A. 相手が同意する協議離婚は可能です。裁判で一方的に離婚を認めてもらうことは、原則として困難ですが、長期別居・未成熟子なし・苛酷条項なしの3条件を満たす場合は例外的に認められます。
Q. 有責配偶者側が先に離婚調停を申し立てることはできますか?
A. 申し立て自体は可能です。ただし調停は合意が必要なため、相手が応じなければ不成立になります。その後裁判に進む場合、前述の条件が問われます。
Q. 浮気の相手と再婚するために離婚したい場合はどうすればいいですか?
A. 法律上の制限はありませんが、有責配偶者として離婚を求める場合、誠実な条件提示が不可欠です。弁護士を通じた協議が最も現実的な方法です。なお、離婚成立前に浮気相手と生活を始めることは、離婚交渉において不利に働く場合があります。
Q. 慰謝料を払えば離婚できますか?
A. 慰謝料の支払いは離婚の合意を促す要素になりますが、「慰謝料を払えば離婚できる」という法律上の規定はありません。相手が合意しなければ協議離婚はできず、裁判では前述の3条件が問われます。
Q. 別居をすれば有責配偶者でも離婚できるようになりますか?
A. 長期間(目安10年以上)の別居は、裁判での離婚請求が認められる条件の一つです。ただし別居が長引くほど、相手が「苛酷な状況」になる可能性もあります。弁護士と相談しながら進めることを推奨します。
まとめ:有責配偶者が離婚を望む場合は長期戦を覚悟し、弁護士と戦略を立てる
有責配偶者から一方的に離婚を請求することは、法律上原則として認められていません。最も現実的な方法は、誠実な条件提示による協議離婚の合意です。
裁判での離婚が認められるには「10年以上の別居」「未成熟子なし」「苛酷条項なし」の3条件が必要で、数年単位の時間がかかります。早期解決を望むなら、弁護士に相談して協議でまとめる道を探るのが最善です。